《MUMEI》 「違うからっ、今のは‥‥‥」 慌てて、ゴシゴシと目を擦る。 「おい、そんなに擦るとまた‥」 「‥ぃっ‥」 「ほら‥言わんこっちゃ──‥」 「‥‥‥‥‥‥‥」 ‥睫毛。 まただ‥。 「ジッとしてろよ‥?」 「‥‥‥ぇ」 こーちゃんが、私の目を覗き込む。 「──っし、取れた取れた──」 「‥‥‥‥あ‥り‥がと‥」 泣いて、睫毛が目の中に入ると‥必ずこーちゃんが取ってくれていた。 だから、当たり前の事なはずなのに‥私は物凄くドキドキしてしまっていた。 前へ |次へ |
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