《MUMEI》 . 俺は大きく腕を振り、全速力で街中を走り抜けた。 学校に着くと、ほとんどの生徒達は下校していて、残っているのは部活動に参加している生徒だけだった。 大急ぎで上履きを履き、 一目散に図書室へ向かう。 大量の汗が吹き出し、髪の毛が顔に張り付く。 ウザったかったけれど、それどころじゃない。 図書室のまえにやって来ると、 俺は勢いよくドアを開けた。 …………そこには、 いつものように、カウンターに腰掛けた天草の姿があった。 彼女はやはり『コキンワカ』を読んでいて、 突然、ドアが開いたことに驚き、顔をあげる。 天草と、俺の目が合った。 そうやって見つめ合うのは、じつに、久しぶりだった。 . 前へ |次へ |
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