《MUMEI》 . 俺は、そのキレイな笑顔に見とれながら、 言葉をつづける。 「なんで、名前知って……」 俺は今日まで、天草に名乗ったことはない。一度も聞かれなかったし、彼女は中村に夢中で、俺なんかに興味はないから、名前を教えてもムダだと思っていた。 すると、天草は悪戯っぽく瞳を輝かせて言った。 「個人情報は、キチンと管理してます」 「図書委員の勤めですからね」と、付け足した。 そこで俺は、まえに貸出カードを作ったとき、ちゃんと管理するようにと、天草に押し付けたのを思い出した。 俺は、吹き出す。 顔を膝にうずめて、ずっと笑っていた。 その間も、天草は俺の傍から離れなかった。 . 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |