《MUMEI》 「恐らく、これの周りも」 話しながらジンは紙をひらひらと振った。 「人間の目が認識出来ない屈折率を作り出す何かが、魔力の力でしかも分子単位で配置されているんだろう。」 ジンは再びデータをしまいこんだ。 「手紙の文字一つひとつの周りに、さっきの鏡みたいに、だ。」 「なるほどな…少しわかったよ。でも、どうやって解くんだ?」 ジンは顎に手をあてた。 「少し、ってお前…守校で毎日何してんだよ…」 「……配給食を喰ってた。」 「…あとは?」 「うろ覚え」 「…校抱負三ヵ条言ってみろよ」 「心身を鍛え、常に学べ、思考を止めるな」 リツは誇らしげに答えたのにジンは少し驚いた。 「…意外だな。覚えてたのか」 リツはニッと笑う 「俺があんまりにも覚えなくて…O語学の先生に居残りさせられたからさっ」 「自慢にならないぞ、それ。」 リツが苦笑う。 「お前は三ヵ条の一つ目しか、達成できてないな…まあ、それはどうでもいいさ」 ジンは再び白紙に目を移す。 「この術自体の力はそれほど強くない。」 ジンは紙の裏表を見た。 「けど、俺に取っては厄介だな…」 「何が?」 ※※※※ 前へ |次へ |
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