《MUMEI》 こーちゃんの話を聞きながら‥私はぼんやりしていた。 私は‥自分が何をしたいかなんて考えた事なかった。 進路とかも、まだ先の事なんだって──そう思っていたから。 こうなりたいとか──そういう事は考えもしなかったんだ。 だから‥こーちゃんがどれだけ悩んでいたのかなんて‥分かるはずもなくて。 ‥何だか、辛い。 「暴れても全然楽しくなんかなくてさ、ほんとは何がしてーのかって考えて──でも結局、分かんねかった。──で‥通う中学がたまたま家から遠かったからアパート暮らしする事になって‥そん時これ持って来てな」 懐かしそうに話すこーちゃん。 「いっぺん壊しちまったんだけど、まぁ──ちょっと壊れてた位だから修理して──、そしたらちゃんと動くようになってな、試しにシャッター切ってみたら──めちゃめちゃ綺麗な空撮れてさ──」 前へ |次へ |
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