《MUMEI》

「うわぁ、かっわい〜っ」

「だろっ? でもコイツらさ──めちゃめちゃ食うんだよなぁ」

「コウさんに負けてないですね〜」

「ははっ、飼い主に似るってか?」

「だって──ほらっ、この子。何となーく似てません?」

「んー‥」





有里の隣りで、真剣な顔をして1匹のグッピーを見つめるこーちゃん。





「んん‥?」





あんまり真剣になって見つめるから、つい笑ってしまった。





そうしたら、有里も釣られて笑い出した。





それに気付いたこーちゃんがキョトンとして、私と有里を交互に見た。





それから、笑った。





──暫くの間、小さな部屋に明るい笑い声が響いていた。

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