《MUMEI》
仲間?
「まだ……、やるか?…えぇ?」
肩で息をしながら、ユウゴが言った。
しかし、由井は唸るばかりで答えない。
もう、向かってこないだろう。
そう思って、由井に話しかけようとした時、ユウゴの脇腹を鋭い痛みが掠めた。
次の瞬間、由井がビクっと体を震わせ、力が一気に抜けたように手足をダラリと垂らした。
彼の体の下から赤い液体が広がっていく。
ユウゴはゆっくり振り向いた。
そこには、両手で小さな銃を構えたミサが立っていた。
「お前……」
ユウゴは隠れているユキナに目をやった。
ユキナはどうしようもなかったと手振り身振りで知らせている。
「……なんで、撃った?」
視線をミサに戻してユウゴは言った。
ユウゴを狙ったのなら、地面に倒れている由井に当たるはずもない。
彼女は、間違いなく由井を狙ったのだ。
「お前は、由井の仲間だっただろ?」
「仲間、ね」
ミサは馬鹿にしたような笑みを浮かべた。
「本当の仲間なら、密告したりしない」
「……なに、考えてんだ?お前は、由井たちと同じ、このプロジェクトを止めさせる活動をしてたんじゃないのか」
「このプロジェクトで死んだ家族や友人のために?」
ミサが続けた。
「そうだ。お前も、誰かが死んだんだろ?」
「……ええ。婚約者が死んだわ」
頷くミサの顔には、何の感情も見られない。
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