《MUMEI》

「じゃあ、あたしそろそろ帰りますねっ」





2時過ぎになって、有里が帰り支度を始めた。





するとこーちゃんが、ベランダから顔を出して有里を呼び止めた。





「アイス食ってかね?」

「ぁ、今日はいいです──」





ショルダーバッグを肩に掛けると、





「また来ますね♪」





私とこーちゃんに笑いかけて、有里は扉を開けた。





私は見送りをしようと思って、有里を追いかけた。





「──有里ー!」

「?」

「ありがとね、今日──」

「?」

「こーちゃん──すっごく嬉しそうだった。有里が来てくれたお陰だよ」

「そんな事ないって〜。じゃ、何かあったら相談しなよ? 電話もメールも24時間オッケーだからねっ」





返り際、有里は私にそう言ってくれた。

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