《MUMEI》

──春と違って日の出が早いから、もうだいぶ明るい。





ただ、昼間と違って少し涼しい気がする。





「──ねっ、ちょっとだけ道路の方歩いてみない?」

「ぇ、道路‥‥‥」





確かに、今なら人は歩いていないだろうけど‥。





「行こっ、日向♪」





俺の返事を待たずに、那加が路上へ駆け出した。





そして、歩道をスキップしながら進み出した。





──こうして歩いていると──何だか、俺達2人だけの世界にいるような気分になる。

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