《MUMEI》

「落ち着きなよ蜜花‥」

「‥落ち着ける訳ないよっ‥!」

「──蜜花ちゃん」

「っ‥」

「大丈夫よ、そんな顔しないで──」





香坂さんが、そっと私の肩に手を置いた。





「知ってるでしょ? 晃君が強いって事」

「!‥」

「だから心配しないで。きっとすぐに──」





すぐに回復する筈よ──香坂さんは、たぶんそう言おうとしたんだ。





だけど、扉が開いたから‥台詞が途切れた。





看護師さんが、少しだけ廊下に出て来て私を招いた。





「──鈴原さん、どうぞ」

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