《MUMEI》

まあ、ミラーハウスだしな。すぐ着くだろう。

正直、置いてけぼりは傷ついたけど。

七生達の声が遠退いて行く。



迷わないようにするには
手を添えてるといいという。







―――――着かない!
デマだ!

迷った?

まさか。



自分の手相が見える。沢山の俺。
平行間隔を失い、フラフラだ。
万華鏡を全身で見ているようだ。
目が回る。

俺が俺を見ている。怖い。何番目かの俺と目が合ってしまった。


鏡がこんなに気持ち悪いものだったなんて。

一人だ俺は。



……………寒い。

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