《MUMEI》 「──何で‥泣いてんだ‥? お前──」 こーちゃんが、不思議そうに私を見る。 青みがかった目で、ジッと‥。 「おい‥‥‥?」 「‥こーちゃん‥」 「『こーちゃん』‥?」 全然知らない人の名前みたいに、こーちゃんが呟いた。 「‥『こーちゃん』って‥誰だ‥?」 「!‥」 それも‥忘れちゃったの‥? ‥私が君に付けたあだ名だよ‥? ──何で‥? ‥どうして‥? 「‥‥‥‥‥‥‥」 好きなのに‥。 ずっと‥好きなのに‥。 なのに私は‥自分の気持ちに嘘をついていた。 私は‥こーちゃんの事が好きなんだ。 嫌いになんかなれないんだ‥。 「っ‥‥‥‥‥‥」 ‥本当の気持ちに‥今更気付いた‥。 前へ |次へ |
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