《MUMEI》
三年目の余裕
文化祭でステージに立つのも、三年目になれば、さすがに素人の俺でも余裕が出てきた。


(今年は特に楽だし)


主役はエイミーで、相手役は頼


俺の出番もセリフも、今年は少なかった。


(それに、三狼は天然キャラだし)


基本的におっとり口調で、難しい言葉遣いもなかった。


(その点、保は大変だよな)


保の出演時間は俺と同じくらいだったが


セリフは早口な上に長かった。


そんな、他の出演者の心配もできる俺は


客席を見る余裕もあった。


最前列の大蔵先輩・龍さん・宮崎先輩


それに、愛理さんと三人の男の子達はすぐにわかった。


ちなみに、壱子ちゃんは、ステージ裏で


毎回戻ってくる俺の世話をしてくれていた。


一番見やすい中央辺りには、守・吉野・真司・長谷川

それに、瀬川と渡辺


と、おそらくその彼氏達


そして、後列に、厳・松本・石川


何故か、最後尾付近に、拓磨


(あれ?)


拓磨の近くに志貴がいたのは


ほんの一瞬だった。


一瞬と言えば…


(見間違いかもしれないけど…)


昨日クラスに来たヤンキーとお嬢様らしき二人も、最初の出番の時だけ見かけた。

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