《MUMEI》

──笑ってよ。





いつもみたいに‥。





どうしてそんなに辛そうな顔をするの‥?





「こーちゃん」

「‥ん」

「謝らなくていいから」

「‥ミツカ‥?」

「だから──笑って」





謝らなきゃいけないのは‥私だから。





君は‥何も謝る事なんてないんだよ。





私が──‥。





こうなったのは‥私が君を助けてあげられなかったからなんだ。





「ミツカ──」





声がして、私の方にこーちゃんの手が伸びてきた。





その手が、そっと私の髪を撫でた。





「──いー髪してんなぁ──」





──笑顔。





そこにあったのは、間違いなくこーちゃんの笑顔だった。

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