《MUMEI》

「──ねぇ‥」

「ん‥?」

「恐く‥‥‥ないの‥?」

「‥?」

「自分の中にあったものが‥‥‥なくなって‥」

「そりゃ恐ぇよ」

「──ぇ」

「でもさ、恐がってどーなるって訳でもねーし──忘れたんなら、また思い出しゃいいってだけの事だろ?」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「──思い出すからさ、ぜってー。お前の事も、コーサカさん達の事も‥‥‥写真の事も、全部──」

「っ──」

「安心しな。約束すっから」

「‥約‥‥‥束‥?」

「おう☆ っと──‥何だっけ、約束する時やんのって‥」

「指‥切り‥?」

「ぁ‥そーだ指切り。やろーぜっ」

「──うん」





──指切りげんまん。





「忘れない、でね‥?」

「任しとけ☆」





その笑顔に、私は凄く安心した。





──差してきた。





絶望に飲まれそうになっていた私の心に──ひと筋の、光が。

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