《MUMEI》

「結構晴れてんだな、今日──」

「窓‥開ける? ぁ‥でも暑いかな‥」

「ちょっと開けてくれっか? じゃあ──」

「──うん」





──3分の1位。





私は、窓を開けた。





風が、流れ込んでくる。





太陽の匂いを、運んでくる。





「‥こーちゃん‥?」





起き上がって、こーちゃんがカメラをいじっていた。





ずっと使っていたデジタルカメラは、ここでは使えない。





でも、少しでも気晴しになればと思って──さっきインスタントカメラを買って来たんだ。





こーちゃんは、子どもが初めてオモチャに触るみたいに、回してみたり、ボタンを押してみたり。





「ぅおっ‥何だ‥!?」





シャッターが切れた音に、こーちゃんは少しビックリしていた。

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