《MUMEI》

──あったかくて。





──ちょっぴりくすぐったくて。





──懐かしくて。





──安心する。





君の、その手が触れているだけで。





髪がクシャクシャになるけど、それでも──離して欲しくないんだ。





もう少しだけ──もう少しだけ私に触れていて。





「──ぉ、そーだ‥コーサカさん午後から来るんだったよな──」





手が、ゆっくりと離れる。





「───────」





私は、俯いて髪を直した。





‥どうしてか分からない。





でも‥『コーサカさん』ってこーちゃんが言った時‥何だか心がチクッとした。

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