《MUMEI》
・・・・
 『王妃様の胎内にいらっしゃる第二の御子は女子でございます』などとほざきおった。
 それを聞き、臣下を含めそこにいた者すべてが耳を疑った。なにしろそのときヒルデ王妃の腹には新たな生命が宿っていたからな。
 当然、ユリウス王も困惑し唸るような声を上げた。問いただされた男は演説をするように堂々とユリウス王に近づき始めた。
 『見ての通り私は魔術師です、そういったことも私の分野の一部。容易くできましょう、それで如何なされます』
 まだ国に公表していないことを言い当ててみせ、過剰なほどの自信を持っている男に最後の望みをユリウス王はかけたのかもしれない。
 『ありがとうございます。それでは助言いたしましょう・・・王妃様が患う病の原因は呪術にございます。それも非常に強力なものです。
 しかしご安心を。術者の居所はおおよそ見当がついております』
 世界に数えるほどしかいなくなった魔術師によるものだと、そう言っていた。
 呪いと聞き、ユリウス王は目を剥き眉間に皺を寄せた。

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