《MUMEI》

でも君は‥嫌‥なんだよね。





まだ記憶が戻らないから‥?





それとも‥何か他に‥別な理由があるの‥?





だとしたら‥その理由って‥何‥?





「‥分からないや‥」





何も分からない。





何だか‥泣きたくなってきた。





‥痛い。





「っ‥‥‥‥‥‥」





‥痛いよ‥。





「どうしました‥? 大丈夫ですか?」

「‥はい、大丈夫です‥」





声をかけてくれた看護師さんに背中を向けて、私は白い廊下を歩き出した。





──ぴちゃん、と音がした。





「‥ぁ‥‥‥」





──雨‥。

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