《MUMEI》

(そ…
そうだ…)


「上がれ!!」


左サイドを呼ぶセンター。


(まぁ…
妥当だね。)


海南クラブのディフェンスの意図は、


パスの制限にあった。


両サイドをサイドマンツーで防ぎ、


マンツーまではいかないにしろ、


センターに対しクロがプレッシャーを与える。


こうすることでパスが制限され、


同時に司令塔としてのセンターの仕事を制限する。


ここでサイドが上に上がることで、


展開を広げようとしたのがリトルハンドの取った策だ。


(けど甘いね。)


指示通り上に上がる左サイド。


しかし、


「え!?」


これに1枚目が付いていく。


(牽制だけだと思った?


この作戦はそんなな甘いディフェンスじゃない。


1枚目に関しては極力6メートルラインにいながらマンツーディフェンスを行う。


当然サイドが上がっても付いていくよ。)


サイドが上がるもパスは出ない。


仕方なくポストに入るサイド。


これに付いていた1枚目の選手が逆側の2枚目に入る。


それと同時にクロ以外のディフェンスも合わせ、


また同じように1・5ディフェンスが出来上がる。


(な…
なんだこのディフェンス…)

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