《MUMEI》

『ん──みかん、どこ行くんだ?』

『ちょっと散歩に──。こーちゃんも行く?』

『ぁ‥‥‥悪ぃ、俺ちょっと今‥』





あの時私は‥こーちゃんが忙しくてそう言ったんだと思っていた。





でも‥違ったんだね。





‥辛かったんだよね。





私‥全然気付かなかった。





昏睡していた君を見た時も‥ただ昼寝をしているんだと思って‥。






もう、仕方ないのは分かっているんだ。





でも思わずにはいられない。





あの時気付いていれば、こんな事にはならなかったかも知れないのに‥。

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