《MUMEI》
赤ずきんと三匹の狼
『おばあちゃん、お見舞い、来たよ』

『お邪魔しまーす』

『じゃあ、俺は帰るから』


赤ずきん・一狼・二狼の順に、女装三狼が眠る部屋に入ってきた。


一狼は、赤ずきんの恋人として


二狼は、道案内兼荷物持ちとしての訪問だった。


赤ずきんは


…ありえない程の方向音痴だったのだ。


『待てよ二狼。おばあさんにお粥でも作ってやれよ』

『何の為の見舞いの品だよ!』

『だって年寄りにワインとパンは変だろう?』

『変だけど、それが原作だろうが!』


『…おばあちゃん』


騒ぐ狼二匹を綺麗に無視して、赤ずきんは眠るおばあさん


…三狼に話しかけた。


『な、何だい?』

『痩せた? それに、声、変』

『あ、あぁ…』

『その割に、耳…大きい』

『これは、その。お前の声がよく聞こえるように』


『目も』

『お前の顔がよく見えるように』

『色まで変えて?』





俺の、青い目。


『お前とお揃いの方が、よく見える…から』


エイミーとお揃いの、青い目。


顔の似てない俺達が、唯一似ている目。


『嘘つき』

『うわ!』


俺は台本通り、エイミーに布団を捲られ床に転がり落ちた

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