《MUMEI》
本当のラストシーン
そして、神父・柊のもと、行われたのは


赤ずきんエイミーと一狼・頼


ツッコミ二狼と、森のウサギこと、坂井


そして


ハイ・マウンテン国の王女シキと、俺、三狼


三匹の


合同結婚式のシーンだった。


『では、誓いのキスを』


柊がそう言うと


(絶対演技してないだろ)


頼とエイミーは悲鳴と歓声が上がるほどの


深く、長いキスを


保と坂井は


触れるだけの、軽いキスを


それから、俺と志貴は…





(どうしよう)


「祐也」

「ん?」

「『元気が出る、おまじない』」

「…え?」


(まさか)


チューー!


「よし!」


満足げに笑う志貴の口紅は、薄くなっていて


俺の右頬には、志貴の唇の形がしっかり残った。


「こっちは初めてよね?」

「…どこで見てたんだ?」

「希と着替えしてたら、洋子先生からメールが来たの」

「そっか」

「言っとくけど、…私も初めてだからね」

「え!?」


それはありえないと思ったが、志貴はいつの間にか真っ赤になっていた。


「…希はこれで祐希を諦めたらしいから、私も真似してみた。唇は無理だったけど」

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