《MUMEI》

「アキラの事が…好き…だ///」

「…ぇ///」

突然…。

混んでるカフェで男同士で愛の告白…。


慌てて周りに変な目で見られていないかを気にしてキョロキョロ見回してみたけど、そういえばココはドイツで日本語なんか分かる人は居ないんだと気が付いて、一旦ホッとした。

「あそこでアキラのあんな姿見てから…キミに一目惚れしたんだ///」
「ぇ…ちょ///…ぁ…ぅ…うん///」

周りは日本語が分からないだろうけど、はっきり言うジェイミーにいちいちドキドキする。

「お願いだよアキラ…僕の部屋に来て…」

そう言うとジェイミーは、ウルウルした瞳で僕を見つめてきた。

「僕…我慢出来ない///」




知らない人についてく僕も僕だと思うけど…。

でも、あんな顔されたら…放っておけない。

僕はお人好しなんだか…バカなんだか…。



「適当に座っててよ、ジャケットはそこに掛けてね、お茶でも煎れるからさ懐かしのアジアンティーだよ♪」
「ぅ、うん///」


連れてこられたジェイミーの住んでいる所は、とても古いドイツの典型的なアパートだった。

通りに面したオートロックの扉を開けて中庭に入って行くと、暗くて古めかしい階段があった。

その階段を上がっていくと、何度も修理をしたような頑丈なドアがあって、ジェイミーがその扉を開けると中には広いリビングがあった。

テレビを囲むソファーは数人が腰掛けられるような大きなサイズ。

キッチンは散らかってるワケでは無いけれど、何だかうらやましいぐらい生活感満載だった。


克哉さんの住んでいる所も、僕が来てからは若干生活感が出てきたものの、まだまだくるみちゃんが夜中に一人でトイレに行けないくらい暗くて冷たい印象のままなのは、やっぱり良くないよなぁ…。

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