《MUMEI》
二次会
「すごかったわね、壱子ちゃん」

「うん…

て、何で柊、泣いてるんだ!?

誰か飲ませたか!?」

「ううん、柊、一次会からずっとウーロン茶しか飲んで無いわよ」

「「…ヘタレ」」

「…そうだよ。俺は、ヘタレだよ。ヘタレなんだ…

フフフ…」


『柊が壊れた』


その場にいた、全員


俺の過去を忍から聞いたメンバーは、そう思った。


「ま、まぁ。でも! ちゃんと劇でセリフ言えたし!

カラオケでは普通だったじゃない!」


(確かにな)


希先輩が言うように


一次会


演劇部のメンバー+ゲスト出演者で行ったカラオケでは、柊は精一杯普通にしていた。


そして今


俺達は、演劇部員とも


エイミーとも別れ


クラスの打ち上げの一次会を終えた厳と合流し


駅前の、ラーメン屋に来ていた。


別に強制したわけでも、約束したわけでもなく


何となく集まったメンバーだった。


「文化祭、もう明日で終わりだな」

「そうね。…最後の文化祭も、もう終わりね」


就職組の俺と志貴にとって、今回は本当に最後の文化祭だった。

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