《MUMEI》
・・・・
 「非情になるのが王たる者の務めだろう、たとえ血の繋がった家族と赤の他人である民のどちらかしか救えない状況であろうと、家族を捨て民を救わなくてはならない。
 それを出来ない者が王の座に就いていること自体がそもそもの間違いだ」
 無情でにべも無いことを言っているが、三人は何も言葉にすることが出来なかった。確かに冷酷な意見ではあるが、けして間違っていない。ある意味では正解とも言える。だが、人は損得だけで動くものではない、感情で動くものだ。王もまた人間、認めるとまではいかなくとも、赦すことは出来るのではないのか。
 なにがカイルをそこまで冷徹な人間にしているのか、唯一の友であるエドにもわからなかった。
 場の雰囲気は最悪となり、重たい空気が口を開くことを許してくれない。

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