《MUMEI》 . そのままレミとテキトーな会話をしていると、 後ろから名前を呼ばれた。 「あ、小早川!」 その声にギクリとして、わたしは恐る恐る振り返る。 爽やかにほほ笑んだ蒲生くんが、ちょうど教室に戻ってきたのだった。 蒲生くんはわたしのもとに近寄りながら、呑気に尋ねてくる。 「昨日は、ちゃんと帰れた?」 彼の言葉に、わたしより早く隣のレミが反応する。 「……昨日?」 わたしは、しまった!と思った。 打ち上げがあったのは、おとといの土曜日。 わたしはその夜、蒲生くんとホテルに泊まったけれど、レミはそのことを知らない。 …………上手くごまかさなきゃ!! . 前へ |次へ |
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