《MUMEI》
プライド
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それに気づいた蒲生くんは、わたしを追ってくる。


「なに?どーしたの、急に」


隣に並んで、わたしの顔を覗き込む。わたしは歩きながら彼の顔を見上げて、はっきり言った。


「昨日のことは、キレイさっぱり、忘れて欲しいの」


素っ気なく言うと、蒲生くんは2、3度瞬き、それから眉をひそめた。


「なんで?」


「なんでも」


「怒ってんの?」


「怒って、ない」


押し問答を繰り返すと、蒲生くんは焦ったような顔をした。


「もしかして疑ってんの?何度も言うけど、夕べはなにも……」


その続きが聞きたくなくて、わたしは大きな声で遮る。


「あー、ハイハイ!わかってます!!この話、終わり!終了〜!!」


バイバイ!!と言い捨て、わたしは女子トイレに逃げ込んだ。蒲生くんは、さすがにトイレまでは追って来なかった。

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