《MUMEI》 . 個室の便器に腰掛けながら、ようやくため息をつく。 …………昨日、なにもなかったことは、 わたしの身体が一番よくわかってる。 でも、あれだけの噂を持つ蒲生くんが、昨日のあの状態で、わたしに指一本触れなかったっていう事実は、わたしのオンナとしてのプライドを傷つけたのだった。 だって、それはつまり、 わたしはオンナとして見られないっていうことだから。 …………蒲生くんとだったら、 どーにかなっちゃっても、良かったのに。 ………………。 いやッ!! やっぱり良くない!!恥ずかしいし!! でも……………。 悶々としていたが、そのうち考えるのも虚しくなって、わたしはまた、深いため息をついた。 . 前へ |次へ |
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