《MUMEI》

「こー‥‥‥ちゃん‥?」

「──ん、どーかしたか‥?」

「手‥‥‥」

「手‥? ──ぁ‥」





慌てて、こーちゃんが手を離す。





‥離さないで欲しかった。





「悪ぃ‥‥‥何か‥無意識っつーか‥」

「───────」





こーちゃん‥照れているのかな‥。





「──ぁっ」





ここだ。





「おー、結構年季入ってんなぁ──」





アパートを見上げて、こーちゃんが珍しそうに呟いた。





「ここに住んでたのか‥俺達──」

「うん」





ずっと──ここがこーちゃんと私の家。

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