《MUMEI》 . 蒲生くんと言い合いながら、わたしは複雑な気持ちを抱いていた。 蒲生くんはなんだかんだでわたしに構ってくれて、今となっては学校で、彼と一番一緒にいる時間が長いのは、わたしだけだった。 それは嬉しいんだけど………。 でも、『あの夜』のことが、わたしの胸の中にしこりとなって残っていて、 どうしても、素直になれず、可愛いげのない態度しか取れなかった。 蒲生くんは、「よし、わかった!」といきなり意気込んだ。 「小早川が信じてくれるまで、付き纏ってやるからな!覚悟しろよ!」 …………なんだ、そりゃ。 なにを覚悟すればいいのさ。 . 前へ |次へ |
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