《MUMEI》

「ミツ‥‥‥カ‥?」

「こーちゃんはいつも私の側にいてくれた──側にいて助けてくれた──支えてくれた──‥こーちゃんがいなかったら私‥」

「ミツ‥」

「だからっ──」

「っ‥?」

「お返しがしたいんだ」

「お返‥し‥?」

「ずっと‥こーちゃんの為に何かしたいって思ってた──‥でも、出来なくて‥結局してもらうばっかりで‥守ってもらうばっかりで‥。やっとしてあげられる事が見つかっても‥空回りしちゃって‥。私‥全然‥」

「──そんな事ないわよ?」

「香坂‥さん‥?」

「あなたはよく頑張ってるわ──ほんとに。晃君も分かってるはずよ?」

「──ぃぇ‥私は‥‥‥」

「逆に、あなたがいなかったら──晃君はこんなに立派になってたかしら」

「ぇ‥‥‥、でもこーちゃんは‥」

「あなたを育ててきて、守ってきて──だからこそ、晃君は成長したんじゃない?」

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