《MUMEI》

「私を‥‥‥育てて‥守って‥来たから‥?」

「私がアシスタントになったのは晃君が18の時だった訳だけど──やっぱり『しっかりしたお兄さん』だって思ったわ──」

「───────」

「あなたにとって晃君が大切なように──晃君もあなたが大切なのよ」

「‥大‥‥‥切‥」





その言葉が、心に引っ掛かる。





大切なら──どうして忘れてしまったの‥?





どうして──思い出してくれないの‥?






「っ‥」





‥駄目。





泣いちゃ駄目だ。





また‥こーちゃんに心配かけちゃう。





「ミツカ‥? ──おいっ‥」

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