《MUMEI》
帰り道
.


帰り道の途中、レミとバイバイして、わたしは夕方の街をひとりで歩いていた。

たくさんのひとがごった返す中で、

突然、呼び止められる。





「小早川ぁッ!!」





……………この声は、



まさか…………。





わたしがゆっくり振り返ると、


人混みの中に、笑顔でわたしに手を振る蒲生くんの姿があった。

彼の周りには、同じ高校の制服を着た女の子たちがたくさんいて、わたしの名前を呼んだことにより、彼女たちの視線を一斉に浴びることとなった。

女の子たちはなんとなく、シラけた目をわたしに向けている。

先程の呼び出しの件もあって、わたしはすっかりウンザリしてしまった。

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