《MUMEI》
『竿姉妹の父』
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すると、蒲生くんは「ああ!」と思い出したように声をあげた。


「それがさー、帰りがけにあいつらに捕まっちゃって。断ってるのにしつこく誘ってきてさ〜。で、ちょうど小早川が通り掛かったから、チャンス☆と思って」


「助かったよ」と笑う。

わたしは意外だ、と思った。


「蒲生くん、女の子の誘い、断るんだ」


『来るもの拒まず、去るもの追わず』

そういう博愛主義のひとだと思っていたから。

わたしの言葉に、彼は眉をひそめた。


「なにそれ、俺のこと、どーいうヤツだと思ってんの??」


身を乗り出してくる蒲生くんに、わたしは少し考えるフリをして、答えた。


「……女の子なら、誰彼構わず手ェ出す『竿姉妹の父』」


可愛いげなく言ってのけると、蒲生くんは吹き出した。


「なに、『竿姉妹』って!小早川からそんな言葉出てくると思わなかった〜!」


なにやら爆笑している。

思い切りイヤミだったのに。

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