《MUMEI》 . 釈然としないわたしは、気を取り直してジュースを一口飲む。 ひとしきり笑ったあと、蒲生くんは「確かに…」とつづけた。 「そーいう噂があるのは知ってるけど、全部デマだぞ、デマ!」 わたしは半眼で彼の笑顔を睨んだ。 「ホントかな〜?」 疑うわたしに、蒲生くんは肩を竦めてみせた。 「こー見えて、俺、シャイだし。女の子と話すの緊張するし」 一瞬、黙り込む。 蒲生くんは眉をひそめた。 「なんだよ、黙るなよ」 彼のぼやきを聞きながら、わたしはまたジュースを飲んだ。 「くだらない冗談、言わないでくだサイ」 素っ気なく言うと、蒲生くんは詰め寄った。 「マジだってば!女の子とは、世間話するのがやっとなんだよ!」 . 前へ |次へ |
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