《MUMEI》
キンチョー?
.


わたしは顔をあげた。真剣な眼差しを向ける蒲生くんの顔がすぐそばにある。

彼の目を見つめたまま、わたしは言った。


「でも、わたしとホテルにいたとき、ちょー自然体だったけど」


意地悪く言うと、彼は明るく笑った。


「小早川は、特別」





……………え?



『特別』って、



どーいう意味………?





尋ねるまえに、蒲生くんがつづけた。


「なんかさー、小早川と一緒にいると自然体で居られるっていうかー」


…………。



……………はぁ?





「なに、それ?」


やっとのことで尋ねると、蒲生くんはまた、爽やかに笑った。





「他のコと違って、緊張とか、全然しない☆」





決定的なセリフだった。

.

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