《MUMEI》

「──ミツカ」

「ぇ」





誰かが‥目の前に立っている。





背の高い、男の人‥。





「‥こー‥ちゃん‥?」

「悪ぃ、燥ぎ過ぎたよな──」





聞き慣れた、声。





差し延べられた、手。






「ほいっ──立てっか?」

「う、ん‥」





──こーちゃんの手。





安心する──。





「こーちゃん‥っ」

「っ? ‥ミツ‥」

「どこにも行かないで‥」

「‥ぇ」

「お願いだから──‥独りに‥しないで‥」





駄目‥。





泣いちゃ駄目だってば‥っ。





「──ずっと──」

「‥っ‥?」

「ずっといるから。お前の側に──」

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