《MUMEI》
New Style
海南クラブが二部でのデビューをど派手に飾った社会人リーグの開幕から数日が経った。


僕はまた、


赤高の練習に追われていた。


当然。


椎名やユキヒロたち2、3年は僕とヤマの家に泊まり込みプチ合宿をしている。


僕もヤマもバイトがある日はあるけれど、


なんとかシフトを調整してもらい、


どちらか1人だけでも練習に付き合えるようにしていた。


わかってる。


練習のペースを追い込んでることは。


ハンドボールプログラムを使って、


夜の時間帯に練習試合を組むこともあった。


今。


こんなに練習しているチームはないだろう。


ギリギリまで学業を削ってやらせてることは、


ホントに申し訳ないと思う。


6月にあった期末テストも、


安本さんの希望通り赤点を取る奴はいなかったけど、


お世辞にもいい点数だったと言える結果ではなかった。


それでも。


あいつらは僕に付いてきてくれる。


あいつらは…


他のチームに比べて絶対的に練習量が少なかった。


だからこそ、


今その失われた時間を取り戻そうと必死だ。


練習に大事な物は毎日の積み重ね。


あいつらにはそれがない。


だけどここ数ヶ月の間に、


あいつらがやってきたことは、


他校のそれを圧倒するようなメニュー。


無謀な挑戦。


それはわかってる。


でも、


それに挑戦することを選んだ僕らが辿るべき道は、


ひたすら練習する。


それしかなかった。

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