《MUMEI》
Ihm selbstgemacht dish.彼の手料理。
  
克哉さんが大きな荷物を持って僕の住んでいるアパートに転がり込んできてから、ほぼ毎日僕のバイトの終わりとかに迎えに来てくれるようになった。

「今日は外で食事でもしようか」
「う…僕は…あんまり外は」

この前、僕だったら行かないような高そうなレストランに連れてってもらった…。

もちろん、美味しかったけど…違った意味でドキドキして、食べてる気がしなかった。

高級なお店で色々と周りに人が居る中で食べるのって…何だか苦手だ…。

「そう…か…」
「ごめんなさい…」
「謝らなくていいんだ」

ただでさえ、この前の僕の告白で克哉さんは僕を受け入れてくれたのに、これ以上いらない心配をかけさせたくは無かったのに。

あぁ…何で僕はこんなんなんだろ…。



「それなら今日は家で食べようかな」
「えっ、ぁ…じゃあ今日は僕が…」

いつも僕が帰ると克哉さんが食事の用意やお風呂や洗濯など家の事をしてくれていて、僕は何だかいつも申し訳なく思っていた。

「いいんだよ、もしかして私の料理があまり口に合わないのかな?」
「いっ、いいえそんな事ありませんっ!」

いつも克哉さんが作ってくれる料理は、僕では思いつかないような味でいつも驚かされる。

「…じゃあ……お言葉に、甘えてみます///」

克哉さんはこんな風にちょっと強引な所があるけど、優柔不断で人に流されやすい僕からすると、憧れてしまう。

克哉さんと一緒に近所のスーパーに行くと、克哉さんはすぐに食材を決めてテキパキとカゴに放り込んでいっていた。

僕にも、克哉さんみたいな決断力があったら良かったのになぁ…。
  

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫