《MUMEI》 「そんなにデカいの揚げられるのかよ〜俺はこのくらいがいいな」 僕もそう思う、ドイツって色々と大きいんだろうな。 どこから探してきたのか分からない大きなお肉を焼いていた事もあったし、ケーキを2つ焼いていたと思ったらそれを合体させて1つのケーキを作っていたし…。 そんな事を思い出していたら、いつの間にか脩と克哉さんがお菓子を食べながら仲良く笑い合っていた。 「ゲームする時はお菓子がいるだろ?」 「そういうモンなのか?でも良かったなお菓子作れるダチが居てくれて♪サンキュな!」 「雪玉って言ったろ、ちょっと待ってろ」 そう言って克哉さんは揚がったクッキーに粉砂糖を振ると、コロコロと小さな白いボールのようになっていく。 僕もその克哉さんの雪玉クッキーを頬張ると香ばしくて甘くて、素朴なクッキーというような味だった。 「夕飯までもらっちゃってワリぃな///」 「いいよ、いいよ〜」 ゲームをずっとしていると夜も遅くなったので、そのまま脩と一緒に夕飯にする事にした。 いいよ、と言っても結局作ってくれたのは今日も克哉さんなんだけどね。 「家で外国の料理とか凄げぇよなぁ〜♪」 「…すき焼きなんだけどな」 「すき焼きだったんですか…」 言われてみれば醤油味だったけど、すき焼きと呼ぶには甘さが足りないような気がした…。 外国の人ってあんまり食事が甘いって感覚が無いんだろうな。 海外の食事はしょっぱいか酸っぱいか、香ばしいか辛いかくらいしかないような気がする。 そしてお菓子は凄く甘いんだよね…。 そして克哉さんが冷蔵庫から取り出してきた食後のチーズケーキのタルトを見て、ふとさっきのクッキーの事を思い出した。 「下の生地は…」 「残った物はさっきクッキーにしたからな」 「さっきの団子だな!」 「雪玉だ…」 楽しそうに言い合っている克哉さんと脩。 外で食事をするよりも、僕はこうやって家で仲の良い人達とだけで一緒に居られる方が好きなんだよな…。 甘いチーズタルトを頬張りながら、そんな幸せを噛みしめていた。 前へ |次へ |
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