《MUMEI》

「──今日は蝉鳴いてねーなぁ‥」

「ぇ」

「昨日は結構鳴いてたみてーだけど」

「うん──」

「そんで‥」

「‥?」

「どこ行くんだ‥?」

「‥えっと‥、着いたらでいい‥?」

「ぉぅ、いーけど‥、──?」





不思議そうに首をひねるこーちゃん。





一緒に行ってくれる事になって、私はこーちゃんとある場所に向かっていた。





その場所は、まだこーちゃんには秘密。





たぶん──あそこに行ったら何か‥思い出してくれるような気がするんだ。





だってあの場所は──私と君の思い出の場所だから。





だから──どうしても君に一緒に行って欲しいんだ。





あの公園に──。

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