《MUMEI》 「……俺も聞きましたよ。」 直接、瞳子さんの口から聞くとは思わなかったが。 「観覧車に乗って、その上で告白しようと思います。」 「頑張って下さい。」 歯の浮くような偽りの台詞。 「私……七生さんに理想像を勝手に押し付けてしまってたんです、でも今はどんな七生さんでも受け止めたいんです。きっと、七生さんだったらどんな七生さんでも好きなままでいられる気がします。」 綺麗な人……。 七生のことが本当に好きなんだ。 「有難うございます、七生を好きになってくれて……」 涙が溜まり、気付かれないように拭った。 きっと七生は瞳子さんを好きになってくれる、それくらい魅力的だから。 瞳子さんが七生と両想いだと分かれば、修平さんはすぐにでも海外へ二人を連れて行きたいと言った。 ……七生とはこれで最後だ。 「次は何に乗ろうか?」 「コーヒーカップ。」 修平さんの質問に俺も意見してみた。 「いいよ、久しぶりだな。」 修平さんが俺の手を掴んで子供みたいに走り出すと七生も修平さんに対抗して瞳子さんを連れて走る。 前へ |次へ |
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