《MUMEI》 「おい、那加──」 大丈夫‥じゃないな‥。 ‥どうしようか。 落ち着くまで待つのが一番なんだろうけど‥。 「帰っていいよ、お母さん」 「ぇ」 「『大丈夫』って言ったでしょ」 そう言った那加に、結加さんは一瞬戸惑ったみたいだった。 「──じゃあ──また来るね、那加」 「ぇ、結加さん‥」 「──那加が元気そうで良かった。それだけで十分だから」 結加さんは、笑っていた。 でも、どこか寂しそうに見えた。 「那加──いいのか‥? せっかく結加さん来てくれたのに‥」 前へ |次へ |
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