《MUMEI》
・・・・
 太陽の下に晒されていると言うのに、その全容はまたしても黒い濃霧に包まれ、存在の隠蔽が施されている。
 たしかに街で集めた『全身を黒で包んでいる』、『悪魔のような』というキーワードは当てはまるものの、軍での呼称は仮面の男なのだ。これはいささか仮面というものを超えているのではないか。
 「・・・これが仮面の男か、想像してたのと随分違うな」
 剥き出しの殺意も、多彩な能力も、充分エドの期待に応えている。だが、何かが足りないと感じているのも確かだった。
 「兵士や民の作り出した虚像を追いかけていたんだ、そう感じても仕方がない。それでも奴が仮面の男で間違いないだろう」
 「それもそうだな、それじゃあ――」
 肩透かしを食らってしまい士気は下がってしまっているが、だからと言って見逃すわけにもいかない。エドは握る剣を構えなおし仮面の男へと走り出した。

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