《MUMEI》

「克哉さん、来たことあるんですか?」
「ガイドブックと地図で下調べしてきたんだ、この先にいい所があるよ」

克哉さんは迷いもせずに慣れた道のようにズンズンと道を進んで行くので、前に来た事でもあるのかな…と思ってしまった。

克哉さんに手を引かれて連れて行かれた先は、僕でも知っているあの浅草寺だった。

「ココ…でしたか」

でも、そこは僕の知ってる昼間の浅草寺とは全く違う、ライトアップされた仲見世通りがキラキラとまるで夢の中のように輝いていた。

「うわぁ……こんなのあるなんて…知らなかったな///」
「良かった、キミと一緒に来られて」

克哉さんは僕の手をギュッと握り直すと、仲見世通りを真ん中をグイグイと僕を連れて歩いていってくれた。

「克哉さん…」

克哉さんのこんな強引な所とかが…好きです。



仲見世の真ん中まで来ると克哉さんは改まって僕の方に向き直ってきた。

「どうしました?」

急に真面目な顔になったから、怒ってるワケでは無いんだろうけど…ちょっとドキッとしてしまった。

「私のもとに来てくれないか…」
「え…」

来てくれないかって…前に言ってた”ドイツに〜”って話かな?

「えぇ、もちろん一緒にドイツ行きたいですね」
「…旅行か何かと思ってないか?」
「?」

違うのかな…旅行で一緒にという事でなければ……もしかして。

「私の妻になってくれないか?」
「…あ……あの///」

やっぱり…でも…。

「…本当に?」
「私は本気だ」

本気の、プロポーズ。

前のは本気だとは思わなくて、冗談で僕からカマかけてみたものだったから。

その時は嬉しかった…けど…。

きっと、この夏だけだって自分に言い聞かせていた。

克哉さんみたいな立派な人は、今の僕には似合わないと思ったから…。

「前にもプロポーズはしたが、今回は正式にと思ってね」

そう言うと克哉さんは胸のポケットからケースを取り出してきた。

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