《MUMEI》

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わたしがゆっくり視線を向けると、



ドアの傍に立っているひとと目が合う。





−−−蒲生くんだった。





蒲生くんはわたしの姿を見つけると、驚いたような顔をした。


「なにしてんの?」


わたしは彼に見えるようにプリントを掲げて、「日直の仕事だって」と答える。

蒲生くんはわたしの机に近寄り、覗き込んできた。


「今日の日直、小早川だったっけ?」


わたしは頷き、ホチキスでプリントを留めた。


「先生に押し付けられた。終わるまで帰れないの。最悪」


淡々と呟くと、蒲生くんは「ふぅん」と唸り、わたしの隣の席に座った。

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