《MUMEI》

.


わたしは、あっそう…、となるべくテキトーに相槌を打ち、机の上に散らばっているプリントを手に取った。





…………蒲生くんは気づいていただろうか。



ふたりきりで、作業をしている間、



わたしはとても緊張していて、



ホチキスを握る手が、ひどく汗ばんでいたことを………。





…………悔しいな。



わたしばっかりドキドキしてさ。



蒲生くんには、そんな気ないのにさ。



コクるまえに、フラれてるのにさ。



これじゃ、



わたし、諦められなくなっちゃうよ…………。





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