《MUMEI》

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ふたりで、蒲生くんの家に向かう途中、



「俺の方が、背が高いから」と、



彼がずっと、わたしの傘を持ってくれた。



不器用な、相合い傘の中で、



わたしは、蒲生くんの肩が雨に濡れていることに気がついた。



わたしが濡れないようにと気遣ってそうしてくれているのだと思うと、



胸の奥の方が、



じんわりと痛んだ。



その、優しさが、辛い。





…………いっそのこと、



蒲生くんのことを、



キライになれたら、



ラクなのに………………。





わたしと蒲生くんは、普段通りのテキトーな会話をしながら、静かに降り注ぐ雨の中をゆっくり歩いていた。






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