《MUMEI》

もちろん、朝食や夕食、学校の無い休日などは昼食も三人揃って食べる。

今日は、俺が誕生日ということもあって、少し長めに俺は寝させてもらえたようだが。

「ほらな、言わんこっちゃない。どーすんだよ。仁湖、怒っちまったじゃん。」
咎める俺に、兄貴は気まずそうに苦笑する。

その後、兄貴が謝り続けて徐々に仁湖の機嫌も復活した。
その後、仁湖が作った異常に豪勢な昼食を美味しく頂き、各々の一日(半日)が動き出した。

仁湖は家事を始め、兄貴はコンビニへ。
俺はと言えば、自分の部屋で何をするわけでもなく、ゴロゴロとベッドに寝そべっていた。


コンコン────

暫くそんな時が続いていると、部屋がノックされた。

「おぅい。志遠、俺だ。はいるぞ。」

コンビニから帰ってきたのだろう、ドアをノックしたのは兄貴だった。

「……ん、兄貴?どーぞ。」

ガチャ──

扉が開いて、片手にコンビニの袋を持つ兄貴が入ってきた。
口にはアイスが銜えられている。

「ん、やるよ。アイス、食えば?」

差し出されたビニール袋には、兄貴が口に銜えているものと同じアイスが入っていた。バニラのアイス。

それは、兄貴が一番好きなアイスでもあり、俺の一番好きなアイスでもあった。

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